Essay
「Moon 桜」 2009年2月1日 by ISHI

08年2月頃、”こんな感じの曲を作れ・・・”と、マー坊から言われたのがきっかけで、作り出したものの、
”こんな感じ”と指定されると、かえって作りにくくてなかなか上手く滑り出せない。
当初の仮タイトルは、”Hollow City”・・・なぜ仮タイトルかといえば歌詞も曲のイメージも出来上がってなく、
何を言いたいかも決まっていなかったから。
自分の気持ちを中心に曲と歌詞の推敲を始めるものの、なんかシックリこない。
春、我が家の隣にある公園の桜が月夜に散る様をみて、仮タイトルを”Moon 桜”に変更。
当時、社保庁の問題が連日メディアを騒がしており、国民に対する国家的詐欺行為に憤りを覚えると同時に、
もはや将来に期待が持てない時代が来たことを感じてそういった意味も込めようと決めた。
また、自殺の問題も、テレビか新聞で触れてたので、それも歌詞にいれようと・・・
自分の置かれた状況+社保庁の問題(国民的先行き不安)+自殺・・・で推敲。
納得がいかないまま、もうこれでいいや!・・・って感じになり、歌詞&曲が4月5日に完成。

自殺を肯定した訳ではないのですが、逆説的に、生きていればいいってもんではないのでは・・・という歌詞や、
約束された時代(=年金のこと)が終わったことを指す歌詞。

サビのメロディーも歌詞も気に喰わなかったんだけど・・・
結局、マー坊のリクエストである”こんな感じ”は、結果として応えられず別物に。
まぁ、端からそんなメロディーや歌詞は作れないし、作れたとしても自分の音域を越えてしまうから歌うのも難儀だし・・・

で、
ある日、渋谷のM印の店で120円コーヒーを飲みながら、マー坊に歌詞を見せたらサビのところの歌詞で、
笑われた・・・・(今でも明確に記憶しておるのじゃ)。
DeletionとCancellationの言葉が変だったらしい・・・

確か、当時、我々3人は初のオリジナル作成を始めた頃で、何曲か作り出してていて(オリジナル曲の)漠然とした
締め切りがあったように記憶している。
でも、この曲は失笑をかった瞬間、ボツにすることを内心決定・・・
ところが、歌入れしてない楽曲だけのMP3をマー坊が通勤中に何度も聴いてくれてスパニッシュなインストみたいで
良い感じだと言ってくれたので、完全ボツ化は中止。
事有るごとに再考を重ねてみることに。
でも、一度、これでいいやぁ・・・って思ってしまったものには、メロディも歌詞も、そのイメージに拘束されてしまい、
なかなか脱却できず・・・
亜古木の一周年記念(08年6月22日)までには間に合わせようとするも失敗。
以後、第一回 アコフェス(08年9月23日)、オリジナルディ(08年10月4日)に対応すべくトライするも、その都度、間に合わず・・・
10月4日以降は、考える気が起きず、ついにお蔵入り(とはいえ、常に心のどっかに引っかかってた)・・・

09年1月、ある月刊誌に掲載された、曽野綾子氏のエッセイを通勤途中に読んだ。
そこには、戦後日本人の幼児性を批判し、そもそも人権、平和、平等、安定・・・といった耳障りのいい社会、
贅沢で繁栄した社会が許されて当然という概念そのものが無理なことであり、こうした残酷さを内包する人生には
厳しさに耐える訓練と哲学が必要であると説く。
これを読んだ時、なぜかサビの歌詞、曲が出来そうな気がして帰宅後、さっそくギターを弄くってたら(僕は弾けないのです)、
あっという間に完成!
後ずさり的マイナス思考の歌詞だったのが、歩を進める的プラス思考の歌詞に変身。
Silent Majority、一般国民の声は、なかなか発することも聞いてもらえることもなく、消されてしまうけど、
そういう声も聞いてくれ・・・みたいな。

・・・・と、いう製作意図を知らない方が、この歌詞を読んだら女に振られた男が女々しく追いかけているような感じにしか見えないかも。
でも、それはそれで構わない。以前、会社の研修で、外部講師の先生が、作”詩”の勧めを説かれていた。
何故かというと、詩を作るということは、何か訴えたいことがあるからで、それが会社や上司に対してであったり社会や
家庭であったりするわけで、だからこそ、出来上がった詩を見て自分や相手を冷静に分析できる便になるからだそうです。
ストレスの解消にも通じるとか。
その意味で、自分の目的は達成していると言えるから。

苦節11ヶ月?の曲は、当初のスパニッシュは消えてしまい、修行僧の二人からは(初期と比較して)全然別モノの言われてしまいましたが
自分としては、今までの中で一番好きなモノとなりました。
わざわざこの為に、ピックアップ内蔵カホン風小型パーカッションを用意して・・・
マー坊から07年に貰った30年オチのエレキ、ずっと部屋の片隅で長期休暇中でしたが自宅録音では、活躍してもらいました。
初めてのエレキ・・・深夜も弾けるのがなんとも魅力で、ハマリそう・・・
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